情報化社会を生きる子どもたちにとって、スマホやタブレットを使って情報を得たり、SNSなどを通じて他者とコミュニケーションをとったりすることが当たり前となっています。
学校現場においても、ICTを基盤とした先端技術の効果的な活用が求められており、児童生徒1人1台の端末配布やWi-Fi整備、オンライン授業の実施など、教育のデジタル化が進められています。
一方で、「教育のデジタル化についてはまだ変化を実感できない」「具体的なノウハウが不足している」などの課題も挙げられます。
急速に進展する情報化を踏まえ、教育現場におけるデジタル技術の活用が、子どもや教員にどのようなメリットをもたらすのでしょうか。
この記事では、教育DXがもたらす効果や具体的な事例について解説します。
現在の子どもたちにとって、インターネットを使用して情報を取得することやコミュニケーションをとることは、もはや当たり前となっています。
そんなデジタルネイティブ世代への教育内容や方法に変革が必要なのは、当然の流れともいえます。
また、急速な時代の変化に伴う教員の負担は年々増大しており、これまでの働き方を続けるには限界があるため、教育現場へのデジタル技術導入による業務の効率化を積極的に取り入れることが必要となっています。
これらの課題を解決するため、教育のあり方を根本から変革する教育DXの取組が進められています。
教育DXとは、教育現場において、デジタル技術やデータを活用することにより、学校教育を変革することです。
この新たな革新は、多様な子どもたちの個別最適化された学びや創造性を育むものであり、子どもたちの可能性を大きく広げるものとして推進されています。
科学技術の発展や社会のグローバル化など、私たちの生きる時代はものすごいスピードで変化しており、とりわけ子どもたちは変化の激しいこれからの社会に適応しながら生き抜いていかなければなりません。
この激動の時代を生き抜く子どもたちには、変化を前向きに受け止め、自ら価値を創造する豊かな創造性を備え、予測不可能な未来社会を自立的に生きる力が求められます。
文部科学省は2020年度より、子どもたちの「生きる力」を育むための内容を盛り込んだ新しい「学習指導要領」をスタートさせており、教育DXについても、この「生きる力」を育む重要な施策のひとつとして取り組んでいます。
現在、教育DXの一環であるGIGAスクール構想の実現に向けた取組が、文部科学省をはじめ各自治体で推進されており、1人1台端末の整備と併せて、統合型校務支援システムなどのICT技術の導入・運用が段階的に進められています。
教育現場におけるICT環境の充実やデータ活用により、児童生徒一人ひとりに合った教育が可能となり、より充実した学びにつなげることが期待されます。
また、データに裏打ちされた指導ノウハウの継承や業務効率化により、教員の資質向上や負担軽減にも役立てることができるようになります。
現在、一人一台端末など、学校におけるICT環境の整備が進められていますが、これにより、いつでもどこでも授業を受けることができるようになるとともに、児童生徒一人ひとりの進捗に合わせた個別最適化された学習が可能となります。
また、情報の共有化が容易となり、よりきめ細やかな指導ができるようになるとともに、指導記録や指導に係るノウハウ等を蓄積・分析したデータを活用することで、指導内容の深化が図られます。
ICT活用により、調べ学習の効率化や子どもの重要なポイントをハイライト表示したり、注釈を加えたりすることが容易です。
また、動画、3D画像、VRなどを組み込むことで、学習内容をより鮮明に視覚化し、児童や生徒の理解を深めることが可能になります。
学習記録や試験結果等のデータを分析することで、問題を解くのにどれくらい時間を要したか、どこでつまずいているかなどが分かるようになり、得意分野や苦手分野、習熟度が不足している箇所を明確化します。それにより個別の特性や習熟度に合わせた学習が可能となります。
教員は、テストの採点や宿題の確認など、授業以外にも多くの事務に時間を費やしています。
教育DXでは、自動化できる作業をAIや機械に任せることで、事務作業にかかる時間を削減し、子どもと接する時間を増やすことが可能となります。
教育DXによるメリットは魅力的ですが、DX推進を図る上での課題も存在します。その中でも、特に懸念されている課題として、次のことが挙げられます。これらの課題に対応するためには、学校現場の意見も参考にしながら方針を検討することが重要です。
一人一台端末の導入など、教育現場におけるICT環境の整備が順調に進む一方で、これらのインフラ整備には大きなコストがかかります。
さらには、機器の保守やメンテナンス、更新など維持管理コストに加え、ネットワークや不調や機器の故障等による突発的なコストも考慮した予算の確保が必要となります。
クラウド上での学習やデータ管理により、充実した教育が実現する一方で、サイバー攻撃等による情報漏洩などのリスクも存在します。
また、端末を自宅に持ち帰る場合には、教員の目が届きにくくなります。インターネットが生活の一部となっている現在において、自分自身の身を守るためにも、情報セキュリティ教育の充実は非常に重要な課題となっています。
現在、教育DXはモデル校による実証段階であり、ICTを活用した指導のノウハウや事例が十分ではないため、これからデジタルに関わる指導者の資質をいかに向上するかが課題となっています。
教育DXが浸透し、ベテラン教員やICTに強い教員の経験や知識を可視化することができれば、若手職員をはじめとする教員の育成が期待できます。
実際の教育現場でDXを導入している事例にはどのようなものがあるのでしょうか。小中高に分けて一例を紹介します。
3つの絵を見て、ストーリーの続きを想像し、「時」「場所」「人物」などの物語の設定を考えてスライドに描きます。その後、発表会を行い、自分の描いたスライドをタブレット端末で共有しながら、物語を読み合います。児童は、それぞれの画面上で拡大したり、質問したりしながら、物語の良いところや気づいたことを共有し、コミュニケーションを図ることができます。
学級で人気のあることについて、MicrosoftFormsでの調査結果を、グラフを表示しながらポスターセッション形式で発表します。アンケートを瞬時に集計し、その結果をグラフで示すことで、聞く側の生徒にとっても分かりやすく、発表後の活発な質疑応答につながります。振り返りの場面では、MicrosoftFormsを使用して授業の感想を入力することで、すぐに学級全体で本時の学びを共有することができます。
インターネットに接続した教員用タブレット端末を電子黒板に掲示し、ファストフードの栄養バランスチェックができるサイトを利用して、クラスの意見を反映した結果を見せます。次に、生徒が事前に1週間分の昼食を撮影してMetaMoJi ClassRoomに記録したものを各自で振り返り、献立を作成したものを、学級で共有します。
変化の激しい現代において、学校教育の革新は重要な課題であり、デジタルネイティブ世代の子どもたちにマッチした学びの充実や、教員の事務負担の軽減など、教育DXの推進に向けた取組は今後も続きます。
誰一人取り残さない社会の実現に向けて、創意工夫のある学校教育を進めていきましょう。
セールスや採用などのミーティングに関する業務を効率化し生産性を高める日程調整ツール。どの日程調整ツールが良いか選択にお困りの方は、まず無料で使い始めることができサービス連携や、必要に応じたデザインや通知のカスタマイズなどの機能が十分に備わっている予約管理システムの導入がおすすめです。