本記事は「ノーコード」について解説する記事です。アプリケーション/システム構築に必要なソースコードを書かずしてサービスを開発・運用する「ノーコード」という概念についてより深い理解を得ましょう。
そのためにはメリット/デメリット、具体的にはどんなツールがあるのかも知っておく必要がありますので、それらについても解説します。
さて、早速「ノーコード」とよばれるサービスの概要について説明します。身近なサービスやツールを例にとって解説しますので、それらをイメージしながら読みすすめてください。
ソースコードを書かずして、アプリケーションやWebサイトレイアウト、ITツールを開発するサービス、あるいはその概念を示します。
一般的に、IT/Webシステムやアプリケーションはソースコードとよばれる命令文をプラグラミング言語のルールに従って大量に書き綴らなければ出来上がりません。
今あなたが見ているこのWebページも、HTMLやCSSとよばれるプログラミング言語を用いて大量のコードが書き綴られた結果できた1ページです。
しかし、このサービスを活用することで大量にソースコードを書き綴るという作業の必要性がなくなるのです。
これまでエンジニアのような専門家でしか成しえなかったことが、専門知識がない方でも実現できるということで昨今注目されるようになりました。
ちなみに「ノーコード」を英語にすると「No Code」でこのサービスそのものを表しています。
上の解説を読んで、「では、コードを書かずしてどうやってアプリケーションやシステムを開発するの?」と疑問を持ったかもしれません。
結論、マウス操作や簡単な数値入力で実現します。
これについては、身近なツールやサービスに置き換えて考えるとわかりやすいです。
例えば、資料作成ツールの「PowerPoint」。
スライドに文字・図形を配置して色を変更したり、文字・図形の大きさの変更などをおこなうとします。その際は基本的にマウスカーソル移動やクリック操作で直感的に作業できますよね。
実は、その作業の裏側では「文字・図形をスライドの左上端から下に◯px、右に◯px移動させて、文字カラーを◯色に、文字の大きさは◯pxから◯pxの大きさに変更する」といった細かい指示のコードが書き綴られ、PowerPoint側で対応しているのです。
そのほかの表計算ツール「Excel」やドキュメント作成ツール「Word」なども同じく、何気なく直感的に操作している変更や追加、削除などはそのツールの裏で細かいソースコードによって動かされています。
このように本来であれば大量のコードを書いて実装させることも、マウス操作や簡単な数値入力などでアプリケーションやツールを成立させる。あるいはそれを開発するためのサービスがノーコードです。
このノーコードというサービスが社会から注目され、各企業が積極的に取り入れるには理由があります。
それはエンジニア不足です。
経済産業省が「2030年までに最大で79万人のIT人材が不足する可能性がある」という調査結果を公開しているように、現実問題として日本国内ではアプリケーションやシステムを開発できるエンジニアの数が減少傾向にあり、かつ現時点においてもその数は少ないです。
エンジニアの数を増やすという施策よりも「プログラミングやITに関する知識がない非IT人材でもアプリケーションを開発できるようにする」という施策の方が今の日本にとっては現実的なため、いまこうしてノーコードに注目が集まっているのです。
そして、いままさに各企業・自治体は「ノーコード開発」や「ノーコードツール」などを積極的に取り入れ、専門的な知識がない人材がアプリケーションやサービスを開発するといった動きを強化しています。
ノーコードサービスの概要と注目されている理由が理解できたところで、このサービスについてメリット/デメリットを抑えておきましょう。
まず、メリットについてです。
ノーコードサービスに関するメリットは主に3つあり、次のとおりです。
1つ1つ詳しく解説します。
ノーコードの最大の魅力である「専門知識が不要」という点が1番最初のメリットです。
冒頭から述べてきたようにクリック操作や簡単な入力作業で開発できるため、開発プロジェクトに関わるメンバーを招集する際もハイスキルで専門的なエンジニアを招集しなければならないというハードルがなくなります。
次に、アプリケーションやシステムを完成させるまでの時間を短縮できるという点があげられます。
ソースコードを書かず、カーソル・クリック操作できるためその分実装の時間を低減できます。なお、外部に発注せずとも開発することが可能ですので、プロジェクト全体を見ても工数低減につながります。
上で紹介した2つのメリットを踏まえて、費用の負担を低減できるというメリットが生まれます。
専門知識が必要ないため外部のエンジニアを調達する必要もなくなりますし、開発期間が比較的短くなることで結果的に低コストでシステム/アプリケーション開発を実現できます。
続いて、デメリットについてです。
こちらも主に3つあり、次の通りです。
以下で詳しく解説します。
活用事例の多いノーコードツールのほとんどは海外企業が提供しているツールばかりで、それらに関するドキュメントや仕様書は英語で書かれている場合が多いです。最近になって日本語にも対応してきていますが、まだまだ英語の文章を読み取って理解しなければならないシーンが多々あります。
そのため、英語が苦手な人には少し厳しいといえるでしょう。
次にノーコードツールは大規模なアプリケーション開発には不向きであるということです。
専門知識がない人材でも開発ができるようつくられたツールであるため、決まった型や簡易的な機能がいくつも用意されている反面、複雑なものが用意されていません。
大規模なシステムの開発などは複雑な機能追加や組み込みが必要となるため、ノーコードツールが適さないというシーンが発生します。
上のデメリットに付随しますが、一般的な開発手法よりも自由度は下がります。
独自の仕様を組み込みたいと思っていても、ある程度の型が決まっているため実現できないことが多々あります。
プラグインの追加や他のツール/情報と接続させたいといった場合にその自由度の低さを実感することになり、大半の場合「プログラミングが必要」といった結論にいたります。
ここからはノーコードツールにはどんなものがあるのかを紹介します。
「これからノーコードツールをつかって開発したい」という方にとって参考になるものもあるかもしれません。有名どころのツールはおさえておきましょう。
1つ目はWebサイトをドラック&ドロップ形式で作成できるWebflowです。350万人以上のユーザ獲得実績を誇り、ノーコードWebサイト作成ツールの中でも最も有名なツールです。
サイトの画像挿入や文字入れ、ボタン配置などサイト作成に必要な機能・デザインはほとんど網羅されています。豊富なテンプレートが用意されているため、実装も簡単で、Webサイトの構築が短期間で可能となります。
つづいては、ネットショップ開設サービスShopifyです。購入サイトの作成や支払い処理、配達対応、分析、マーケティングなどネットショップ開設に欠かせない機能追加のすべてをノーコードで完結します。
最近ではBASEやStoresといった国内製のネットショップ開設ツールもありますが、それらとは拡張性や優位性の観点で大きな違いがあります。グローバルスタンダードなサービスであるため、海外決済や税金対応も可能であることも特徴の1つです。
3つ目は、ここ最近で日本企業の多くが導入している顧客管理/営業支援開発ツールSalseforceです。ビジネスの根幹をなす、顧客情報の管理(CRM)や営業活動を強化するために必要なSFAを各企業仕様に開発するために利用されます。
情報管理といった細かい仕組みやデータ分析ツールは本来であれば、複雑なロジックを1から構築し、大規模な開発が必要でしたがSalseforeが登場したことでそのハードルが下がりました。
単純な情報管理だけでなく、見込み客の管理や営業プロセス管理、売上予測などのビジネスには必要不可欠なデータ抽出を自動でおこなえることもSalseforeの強みです。
最後は、社内のドキュメントやWiki、タスク管理などのさまざまな情報管理に対応できるノーコードサービスNotionです。
Notionで管理できる情報はミーティングの議事録やロードマップ、社内のイントラ、Todoリストなどさまざまです。
Google関連サービスやEvernote、Dropbox、Trelloなどの他のサービスとの互換性も高く、「これまでバラバラに管理されていたドキュメント類を集約させるために導入した」という事例が多いです。
本記事では「ノーコードとはなにか?」という点から、メリット/デメリットについても触れました。メリット/デメリットについては以下のとおりでした。
メリット
デメリット
終盤で紹介した「知っておきたいノーコード開発ツール・サービス」やその他のツールについても調査し、トレンドである「ノーコード」についての知見を広げていきましょう。
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