これまで多くのフレームワークが世の中に存在していますが、今回はフレームワークのひとつであるYWT(ワイダブリュティ)について解説していきます。
聞きなれない方、聞いたことはあるけどよく意味は知らないという方も多いと思います。
そんな方に向けてYWTの意味や、何のためにおこなうのか、実践方法など網羅的にお伝えしていきますので、ぜひ最後までご覧下さい。
YWTは、日本能率協会が提唱した、日本発の振り返りのフレームワークです。
その3つのアルファベットの頭文字から成っており、
これらの3つの質問に答えていくことで、振り返りをおこなうというものです。
同じ振り返りのフレームワークに、KPT(ケプト)があります。
こちらはアメリカのシリコンバレー発の振り返りフレームワークであり、
これらの頭文字をとって作られた言葉です。
主にプロジェクトで用いられ、この3つの要素を順に振り返ります。
YWTとKPTを表にして比較すると以下のようになります。
YWT | KPT |
Y やったこと | |
W わかったこと | Keep よかったこと |
Problem 問題、課題 | |
T 次おこなうこと | Try 次に挑戦すること |
このように内容的に似ていますが、KPTはYWTのY「わかったこと」について良い面と悪い面から詳しくとらえるという特徴があるのに対し、YWTはわかったことを整理する前に、やったことから振り返るという特徴があります。
次に、YWTを活用して振り返りをする目的と、その効果について解説します。
まず、振り返りそのものの目的から解説しますが、振り返りは、過去や経験から学び、それをこれからの未来に活かすためにあります。
ただ過去にあった事実を「知る」だけでなく、過去の経験をうまく扱い未来に「活かす」という目的意識が重要です。
その学びのサイクルが、自身やチームの効率的な成長を促してくれます。
YWTとKPTの大きな違いは、Yの「やったこと」が入っている点です。
この点は非常に重要で、おこなったことの事実確認ができていない段階で、あれが良かった、これが悪かったという評価をしてしまうと、特にチームで振り返りをする場合は軋轢を生んでしまう可能性もあります。
まず、事実をしっかりと振り返り整理した上で、次の評価に進むのが望ましいと言えます。
また、個人で振り返りをする場合でも、評価が入ると主観が入り、自分を責めたり落ち込んだりと、ネガティブな感情になってしまう恐れもあります。
評価をする前に事実確認をすることで、客観的かつ冷静に自分の行動や経験を振り返ることができるという効果もあります。
事実確認ができるという項目と重複する面もありますが、Wの「わかったこと」も事実確認ができるという感覚に近く、客観的な視点で振り返りをすることができます。
「良い」「悪い」ではなく、やったことによって判明したことを列挙するため、角が立たず冷静な議論及び振り返りが可能になります。
むしろ、新たな発見を共有するような、前向きな感覚で振り返りができます。
小学生でもわかるような質問事項が、振り返りの要素になっており、かつ3つしかないため、振り返りをおこなうこと自体のハードルを下げてくれています。
チームであれ個人であれ、振り返りは短いサイクルで定期的におこなうことが望ましいですが、これだけの項目であれば短い時間で済ませられる可能性が高いため、そのような効果的なサイクルで振り返りのフレームワークを導入することができます。
そのようなシンプルなYWTですが、その実践方法について解説していきます。
まず、やったことを書き出します。
具体例を紹介します。
思い出しながら事実を押さえていく感覚で、どんどん出していきましょう。
やったことを洗い出し、そこからわかったことを書き出します。
具体例を紹介します。
やっていたときに自分が考えたこと、洗い出したやったことを見て、整理がついたことでわかったことなどを書き出します。
わかったことで書き出された気づきや学びを基に、次に活かす具体的な行動を決めます。
具体例を紹介します。
たくさん出す必要はないので、実行可能性が高く少しでも改善できるような行動を決めましょう。
上記を参考にYWTをまとまると下記のようなシートになります。
「次におこなうこと」が「やったこと」に一部になるようにし、改めてYWTのフレームワークで振り返りを行い、次の振り返りの際の「やったこと」で再利用し、改めて振り返りを行っていきます。
このようにして、振り返りと改善のサイクルを仕組みにします。
YWTを実践する上で押さえておくべきポイントを解説します。
KPTは成り立ちからしてチームなどの少人数の集団のための振り返りフレームワークでしたが、YWTはKPTに似ていることもあり、チームでの活用も可能ですし、シンプルな仕組みであるため個人でも実践しやすいです。
どちらでも有効なフレームワークですので、気にせず活用してみましょう。
はじめてチームに導入する場合は、一度個人で実践してみて要領を得てからチームに導入するのがおすすめです。
チームでおこなう場合はホワイトボートや共有画面、個人の場合でも手書きかパソコンに書き込むなど、どういう意見が出ているのか可視化できるようにします。
そうすることで、思考に関連性を持つことができ、より有効な手段である次におこなうことを導き出すことができます。
質問がシンプルで抽象的なため、テーマが絞られていなければ振り返りの意見が出てこない可能性もあります。
何について振り返るのかを明確にし、特に導入し始めは、どういった次のアクションに導きたいのかを、仮説を立ててテーマを設定しましょう。
質問がシンプルであるがゆえに、まとまらなかったり、振り返りのテーマから脱線してしまうこともあります。
次におこなうことはたくさんある必要はないので、そこをいくつか出せる程度に議論をまとめましょう。
振り返りと行動のサイクルを継続させることで、成長の速度が速まり、進むべき方向性の軌道修正できてブレが少なくなります。
無理のない範囲で定期的に実践することをおすすめします。
これまで解説してきたように、YWTはシンプルで実践しやすい振り返りのフレームワークです。
何の仕組みやフレームワークもなく振り返りをするのと、こういったフレームワークを活用するのとは、その効果に大きな差が生まれます。
ぜひ、習慣化するレベルまで実践していただいて、チームや個人の好循環のサイクルを作っていただきたいと思います。
実践が難しいと感じた時は、改めてこの記事に立ち返っていただき、実践の糧にしてみてください。
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