従来型の面談との違いで1on1を説明しましたが、従来型の面談が悪いという事ではありません。
面談は終身雇用の時代で、年単位で個人の成長を見守るのには適したシステムです。
終身雇用の時代では会社に属していれば、定年までの雇用が約束されています。
会社の方向性に従うことが個人の目的に直結しやすいので、会社からの要求にどうこたえるかが目的になりますので、その方のズレを修正するための面談は合理的です。
しかし、トヨタでさえ終身雇用が難しいと発言される時代です。
社員も自分で人生を考えなくてはいけない時代に、会社からの評価だけではモチベーションが上がるわけはありません。
個人が働く目的、意味を見出す事が目の前の仕事に対するモチベーションアップとなります。
会社や上司が意見を押し付けることなく、個人がそれぞれの意見を自分で見出す手伝いをすることが1on1の目的になります。
そして、そのことが会社や上司の利益となって返ってきますので、是非取り組んで欲しいと思います。
先ほど1on1のメリットについても触れましたが、改めてメリットについてお伝えします。
人はぼんやり考えているだけでは、自分の考えを把握できていません。
一回言葉や文字にして自分の考えを取り出すことで考えをまとめられたり、新たな気づきがあります。
さらに自分の経験からの学びを加速させてくれます。
米ロミンガー社の調査で経営幹部に聞いた「成長に役立った事」の調査があります。
それによると70%が経験、20%が上司などからの薫陶、10%がセミナーなどの学習であったとのことです。
1on1で部下が話すことは70%を占める経験学習から、さらに学びや気づきを得る事になります。
1on1であなたが部下の成長に手を貸すことが出来れば、部下もあなたを信頼してくれるでしょう。
人は成長できているという実感を持つことで感情が前向きになります。
1on1によって自分が進みたい方向がはっきりして、目の前の仕事が成長に役立つと分かればモチベーション高く目の前の仕事に取り組んでくれるでしょう。
1on1は部下にしっかり向き合うので、その間は他の事が出来ません。
なので時間を取られることを嫌がる上司もいます。
しかし、始めにしっかり時間を取って部下と向き合えば、その後は定期的に1on1をしてお互いの意見をすり合わせれば、仕事が順調に回ります。
時間を取られることを嫌がって1on1をしなければ、細かな指示のズレや部下の仕事のフォローなどで時間が逆に取られてしまいます。
それに部下が仕事に対してモチベーションが高ければ、任せられる仕事も増えていきます。仕事に対して前向きに取り組んで成果を出せれば、より高度な仕事も任せる事も出来ます。
仕事が自分の手を離れられれば、突発的な事態への対処も余裕を持って行えます。
また、部下が相談したいと言ってきたときに時間を空けてじっくり向き合うこともできます。
自分の成果だけでなく、部下の成長も管理職の仕事です。
対話をすることで部下と深いコミュニケーションができれば、きっと部下もあなたに答えてくれるでしょう。
1on1を機能させるために必要なスキルは以下の通りです。
「聞く」と「聴く」の違いですが、「聞く」はただ聞こえてくる音に対して使います。「聴く」は注意を傾けて聴くことを表します。
「音楽をキク」という場合でも、BGMだと聞くで、好きなアーティストの曲の場合は聴くになります。
具体的に注意して聴くとはどういうことかと言うと、観察をして聴くことです。
声だけでも、緊張している声なのか、硬い声なのか、リラックスしている声なのかと色んな事が分かります。
そして、目で相手を観察してください。
顔色はどうなのか、姿勢はどうか、目は落ち着いているか、など慣れればたくさんの情報が分かります。
これらは相手としっかり向き合わなければわかりません。
1on1のときは姿勢も気持ちも相手に向けて下さい。
ラポールとは信頼関係の事です。
なぜ信頼関係と書かなかったというと信頼関係を築くこともラポールの中に含まれるからです。
普段の仕事からラポールが築けていれば問題ありませんが、普段あまり接しない相手もいます。
その時は1on1の中でラポールを築いて下さい。
方法としては「オウム返し」という方法があります。
相手の話の中でキーワードと思われる単語を繰り返します。
「わたしは×××だ大事だと思います。」
「×××が大事なんですね」
といったように相手の話したことを繰り返して伝えます。
このスキルの目的は相手にしっかり話を聴いてますということを伝える事です。
質問にスキルなど必要なのかと思われる方もいらっしゃると思います。
世間話程度なら要りませんが、相手から必要な情報を引き出すためには効果的な質問をしなければいけません。
基本的に質問はオーブンクエスチョンを使います。
オープンクエスチョンとは「はい・いいえ」で答えられない質問の事です。
「あなたにとって大事なことは何ですか?」
などの質問で、相手が考えるような質問がベストです。
反対はクローズドクエスチョンで「はい・いいえ」で答えられる質問の事です。
「これで進めて良いですか?」
などです。
クローズドクエスチョンをしてはいけないという事ではありませんが、必要最低限にしてオープンクエスチョンで相手に答えを考えてもらいましょう。
これまでスキルについてお伝えしましたが、1on1をおこなうにあたって一番大事なのは考え方ですが、マインドとも言います。
このマインドが無いといくらスキルを上手く使ったとしても、上手くいきません。
マインドが基礎にあってこそスキルが活きてきます。
根本のマインドは「相手が最適な答えを自分で見つけられる。」ということです。
自分の方が知識、経験が有っても決してアドバイスをしてはいけません。相手が自分の知識、経験の中から答えを導き出すプロセスが大事なのです。
相手が部下でも家族でも一緒です。
相手に敬意を払って、答えを出すプロセスを尊重しましょう。
1on1を嫌がる理由の一つとして、時間を取られるからと言う理由が挙げられます。
確かに1on1の場面だけ切り出してみると必要以上に時間を取られる印象があるかも知れません。
しかし先にもお伝えしたように、1on1でしっかり相手の話を聴けばのちのち時間の節約になります。
相手がどんな価値観なのか、どんな仕事を望むのかを理解しておけば仕事をどのように頼んだらいいかの予測が立ちます。
部下と自分の癖や強み弱みをお互いが把握できていれば、仕事を頼んで言葉が足りなかったとしても上手く補ってくれます。
普段から一方的では無く、双方向のコミュニケーションができていれば部下も相談しやすいです。
何よりお互いに意思の疎通ができていれば、必要以上に対立することもありません。
それに部下のモチベーションが高ければ、どんどん仕事をこなしてくれます。
いいことづくめなのです。
そのためには常日頃から部下の話を真剣に聴く必要があります。
部下が何か話しかけてきたら、自分の仕事を中断して部下の話を聴いて下さい。
その為にスケジュールには余裕を持たせて、多少組み替えても問題ないようにしておいてください。
1on1を機能させることは難しいです。
なぜなら上司であるあなたの考えが変わらないといけないからです。
普段の生活から相手の話を傾聴する癖をつけていきましょう。
むしろ普段の何気ない会話こそ、相手の話を聴いて下さい。
それこそがラポールの鍵だからです。
話をしっかり聴くことは、かなり大変です。
しかし部下たちは上司のあなたが、そこにエネルギーを注ぎこめるかをよく観察しています。
話を聴いているときは「この人は何を言おうとしているのか」と集中して観察してください。
始めはかなり疲れてしまいますが、慣れてくれば聴くことができるようになります。
是非頑張って話を聴いて下さい。
それがコミュニケーションの第一歩目になります。
1on1の日程調整に便利なツールもご紹介していますので、ぜひご覧ください。
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