日報は決められたタスクであるためやっているが、「やらされている」方も多いのではないでしょうか。
また、上司側の立場であっても、部下の日報の内容に不満を持っていたり、どのように日報を活かせばいいのか悩んでいる場合もあると思います。
確かに手間がかかるように感じるかもしれませんし、成果に直結しているとも思いづらいかもしれませんが、実は重要であり、方法によってはその手間を成果に直結させることもできます。
今回は、そんな日報の必要性や、有効な活用方法などについて詳しく解説していきますので、ぜひ最後までご覧ください。
まず、日報の定義について、週報や月報との違いをふまえて解説していきます。
日報とは、日々の業務などを記録し報告するツールです。
報告する相手は、上司などのマネジメント層であり、報告する内容は業務などの「何をおこなったか」という「活動(行動)」に関するものが主になります。
以下、一般的な日報の内容と、週報と月報との違いを表にしています。
日報 | 週報 | 月報 | |
頻度 | 毎日 | 毎週 | 毎月 |
当事者 | 個人(部下) | 個人/チーム/組織 | 個人/チーム/組織 |
報告相手 | 上司やマネジメント層 | 上司やマネジメント層 | マネジメント層・外部 |
報告内容 | 活動がメイン | 活動や成果 | 成果、結果がメイン |
これはあくまで一般的なケースであり、業種業態、職種、組織の方針などで違いがありますが、日報・週報・月報という一見同じように思えるものでも、「いつ」「誰が」「誰に」「何を」報告するのかという軸で比べてみると、それぞれの違いがわかりやすくなります。
日報の定義が整理できたところで、続いて日報の意味と目的について解説していきます。
まずは、上司やマネジメント層と部下との情報共有という目的があります。
組織の中で、管理職が個々の活動状況をリアルタイムに把握することは事実上困難です。
だからこそ、日報というツールを活用することで、リアルタイムではないにしても日々の活動状況を知ることが可能になります。
部下の活動状況が把握できないということは、現状把握ができないということになり、現状の部下の活動が正しいのか、軌道修正が必要なのかがわかりません。
そういった検証や調整をおこなうためにも、日報で活動状況の把握をするというのは重要な意味があります。
先の情報共有は、情報が一方通行のようなニュアンスでしたが、双方向のコミュニケーションや、そのきっかけとして活用する目的もあります。
日報に毎回フィードバックをする方法や、日報で気になったことがあればその部下とコミュニケーションをとるという方法もできます。
また、部下側も報告だけでなく、相談ごとを記載してみるのもいいでしょう。
ここまで解説した日報の意味と目的は、相手がいる前提でのものでしたが、この振り返りは自己完結できる目的になります。
1日の活動を振り返りながら、良かったこと、結果がでたこと、失敗したこと、反省点など、自分で自分にフィードバックを与えることができます。
そして、それを明日以降の活動に活かしていく、という日々の成長・改善サイクルも確立することができます。
人間の記憶力ほどあてにならないものはありません。
ドイツの心理学者ヘルマン・エビングハウスが提唱した「エビングハウスの忘却曲線」によると、人間は1日後には74%を忘れてしまうと言われています。
当然その中の大半は忘れてもいいことではあるはずですが、忘れてはならないことは人間の記憶を頼っているわけにはいきません。
そういった観点で、日報には大きな意味があります。
メモや記録を忘れていた場合でも、1日の振り返りをすることで思い出せることもあるかもしれませんし、忘れてはならないことを記録しておくこともできます。
このように、日報は習慣化された備忘録として重要な役割を果たします。
次に、日報をどのような内容にするべきか、ということについて解説していきます。
いつ、どのような業務をおこなったのかということを書いていきます。
あまり細かく書く必要はなく、業務の内容がわかり、それにどのくらいの時間がかかったのかがわかる程度にまとめましょう。
もし与えられた数値的な目標などがある場合は、その指標となる結果も書くようにします。
例えば、見積り件数、提案件数などです。
自身の役割によって書くべき指標は異なると思いますが、与えられた目標に対する進捗を日々確認するという意味で、重要な項目と言えます。
日々の業務内容をただ報告するだけでなく、その業務をおこなうことで感じたこと、課題に思ったことなども共有するようにします。
課題や悩みがあれば、日報の中で相談してみるのもいいでしょう。
所感や相談を書くと、どのようなマインドで、どのような視点でその業務をおこなっているのかがわかるため、上司としては的確なアドバイスがおこないやすく、次にどのような役割を与えればいいかなど、キャリアステップを考える上でのヒントにもなります。
とても重要な項目です。
行動を振り返り、自身の所感などをまとまることで、内省することができます。
その内省を、明日以降にどのように活かしていくか、ということも書くようにしましょう。
ひとつ注意点としては、壮大なことを書く必要はなく、小さな改善点でいいので確実に実行できることを書くようにします。
日報は毎日書きますので、小さな改善でも日々積み重ねることで、時間とともに大きな成果や成長につなげることができます。
日報に何を書くかがわかったところで、どのように日報を書くか、どのように活用していけばいいか、というポイントについて解説します。
日報は時系列でおこなった業務を報告するため、スケジュールと連動させることで大幅に効率化させることができます。
スケジュールを管理するツール、もしくは日報のツールいずれかにツールそのものを合わせるようにして、日報業務を簡略化するようにしましょう。
前述しましたが、人間の脳の記憶力は信頼性に乏しいため、記憶があるうちに書くことが重要です。
例えば、提出自体は1週間まとめておこなうような仕組みの場合でも、1週間分をまとめて作るようなことはしないようにします。
内容の信頼性が低いですし、思い出すという作業が増えてしまうため非効率でもあります。
少なくとも1日の終わりにまとまった時間をとって作成するようにしましょう。
日報作成に費やす時間はできるだけ減らすような工夫が必要です。
毎日の作業であるため、数分減らすことができても、長期的にみれば大きな工数削減効果があります。
その方法の1つとして、日報の内容を改善するというものがあります。
上司やマネジメント層が日報によって知りたいことを把握し、それ以外の要素を切り捨てるようにします。
定形のフォーマットであるため変えることが難しい場合でも、改善提案をするなど働きかけをしてみるといいでしょう。
日報は振り返りという重要な目的があるということを解説しましたが、振り返りを明日以降の行動に活かし、その行動を振り返る、というようなサイクルを回すとより効果的かつシステマチックになります。
そのようなサイクルを回す際に、KPT(ケプト)という概念を取り入れることがおすすめです。
KPTとは振り返りの思考フレームワークで、
この順に振り返りを整理していくものです。
本来は、チームなどの複数人で振り返りをおこなう際に、このフレームごとのディスカッションをしていくためのものですが、個人の振り返りとしても有効なフレームワークです。
決まったフレームで振り返りをすれば、短時間で効果的な振り返りをおこなうことができますので、おすすめです。
日報についての理解が深まり、うまく活用すれば効果的であることもわかっていただけたのではないでしょうか。
記事内でも何度か書きましたが、日報は毎日のおこなうことであり、毎日積み重なることです。
1日の中で見ると短い時間であり、小さな作業かもしれませんが、何カ月、何年と積み重なると、日報が効率的で効果的であるかどうかの差は、とても埋めることができないくらい大きな差になります。
ですので、日報を軽視せず、この記事の内容を活かしてより効率的で効果的なものにしていきましょう。
他の報告書についての記事もありますので、ぜひご覧ください。
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