KPT(ケプト)とは、振り返りの際に用いられる思考フレームワークのことです。
言葉自体は聞いたことがあるとは思いますが、その具体的な意味や実践方法については理解できていないという方も多いと思います。
今回の記事では、KPTについての理解を深めていただき、実践で使えるように実践方法を交えて具体的に解説していきます。
元々は、アジャイルソフトウェア開発の世界から広がったフレームワークです。
そのアジャイル開発の第一人者である、アリスター・コックバーン氏がKPTの起源となる手法を発案したと言われており、その後、KPT自体は主に日本で広がりをみせています。
では、KPTとはどういう意味を持っているのでしょうか。
まず、名称の解説をすると、
これらの頭文字をとって作られた言葉になっています。
プロジェクトや業務について、この3つの要素を用いて振り返りをしていくため、このような名称がつけられました。
KPTは振り返りをおこなうフレームワークですが、その目的と期待される効果について、解説していきます。
冒頭から書いていますが、KPTは振り返りのためのフレームワークです。
振り返りを体系的なフレームワークでおこなうことで、経験したことを効果的に次に活かすことができるようになります。
次に活かすというのは、具体的な次のアクションを決めるということです。
次のアクションという行動に落とし込むことで、はじめて改善の効果を実現することができます。
では、その改善の効果とはどのようなものが期待できるのでしょうか。
振り返りによって、やめるべきことを排除していき、より効果が高いことのみを残してそれに集中していけば、プロジェクトや業務をより生産的にすることができます。
KPTによって、より本質的なもののみに集中して取り組む素地を作ることができます。
いくら良いアイディアや良い思い付きをしても、それを行動にうつすことができなければ、何も効果を得ることができません。
そして、KPTによる振り返りのフレームワークは、取り組んだことの感想や、空想的なアイディアを挙げる場ではありません。
実践の中で学んだことを、次の実践的なアクションに活かすためのものです。
KeepとProblemを振り返ることで、より本質的な要素を抽出し、それをTryという具体的な次のアクションに結び付けることが重要です。
そのTryが新たな結果という効果を生む源泉になります。
では、KPTは具体的にどのように実践すればいいのでしょうか。
順を追って解説していきますが、KPTは基本的にチームでの振り返りに用いることが一般的です。
ですので、チームの振り返りという前提で解説していきます。
まず、KPTの3要素について考えていく前に、そのプロジェクトや業務の中でどういったことをしてきたのか、チームメンバーが経験してきたことを思い出すことからスタートします。
そして、個々が経験したことを共有していくことで、そのプロジェクトや業務の全体像や流れを改めて振り返ることができ、KeepやProblemで挙げられることの質も上がっていきます。
経験の思い出しと共有の次に、実際にKPTの流れに入っていきますが、まずはKeepから列挙していきます。
良かったことや続けるべきことなど、ポジティブな面を先に取り上げることで、チームの振り返りの場のコミュニケーションも活性化させることができます。
出た意見は、ホワイトボードなどにKeepの枠を設けて、そこに書き込むかポストイットなどで張り付けます。
次に、Keepと同様の手順で課題や問題、やるべきことを書き出していきます。
最後に、書き出されたKeepとProblemを元に、次回Tryすることを導き出します。
やるべきこと、やめるべきことを整理し、具体的なアクションに落とし込むことが重要です。
KPTの具体的な流れが理解できたところで、実際におこなう際のポイントを解説します。
この可視化は、KPTの必須要素と言えます。
書き出しKPTの3要素ごとにまとめて可視化することで、思考を整理することができるからです。
チームメンバーでおこなう場合は、全員がその可視化した情報を共有できるように、大きなホワイトボードなどを活用すると効果的です。
出てきた意見の質によっては、Keepをそのまま継続してProblemをやめるようにするというだけでは、次のTryとしては不十分な場合があります。
そこで、出てきたKeepやProblemを、何がよくて継続するべきなのか、何が悪いからやめるべきなのかというように、本質的な部分に落とし込んでいく必要があります。
そういった本質的な部分に導くために、プロジェクトのリーダーなどがチームメンバーをうまくファシリテートしていきます。
導き出したい答えは、次のTryというよりよい次のアクションなので、そこに導くように質問を投げかけるようにしましょう。
KPTによって次のTryを導き出すということは、次のプロジェクトや継続的な業務があるということです。
その継続的なサイクルの仕組みの中にKPTを当てはめることで、前回よりも今回、今回よりも次回のほうが、より良いプロジェクトや業務にすることができます。
仕組みの中にKPTを当てはめるということで言うと、たとえば長期的なプロジェクトの場合は、工程を細分化し、その工程ごとにKPTをおこなうことで、プロジェクトを進める中で改善のサイクルを構築することができます。
すべて完結してからでないと振り返りができないというわけではないので、例のように工程を細分化するなどの工夫をしてみてもいいでしょう。
KPTの定義や具体的な実践方法、ポイントまで解説させていただきました。
なにかプロジェクトをおこなっていたり、業務の責任者をしているなどの場合、その改善を促すためにとても有効なフレームワークですので、ぜひ実践で活用していただきたいです。
チームに導入するのに抵抗を感じる場合は、個人の目標達成のためのフレームワークとしてまず導入してみることもおすすめです。
主に使われるのはチームの振り返りの場面ですが、個人の振り返りのフレームワークとしても有効です。
いずれにしても、ぜひ活用していただきその効果を実感していただきたいです。
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