組織においても個人においても、目標設定の重要性は認識されていると思いますが、一言で目標設定とは言っても、その方法には様々なものがあります。
今回はそんな目標設定の手法の中でも注目度の高い「OKR」について解説していきます。
OKRについて理解したい、OKRを導入したいと考えている場合などは、特に参考になる記事になっていますので、ぜひご覧ください。
OKRとは、目標設定そのものや、その設定した目標を管理するための手法です。
Objectives and Key Resultsの頭文字をとった名称になっており、
の2つの要素から成り立っています。
元々は、アンディグローブ氏(インテル元CEO)が目標設定を組織に効果的に共有するシステムとしてインテル社で導入し、その概念を体系化させたことが始まりとなっています。
そこから、GoogleをはじめとするシリコンバレーのIT企業を中心に広がりを見せ、今や様々な組織で採用されています。
日本でも、メルカリやSansanなどの企業が導入しています。
OKRの概要について解説しましたが、続いて具体的な特徴や要素について、目標と成果指標という2つの要素から解説します。
目標の定義の中には、「必達」という言葉が含まれている、つまり目標は100%に達するべきものイメージがありますが、OKRの場合はそのような目標を設定しません。
目標に対して60%~70%の達成率を理想とするような、非常に高い目標設定をします。
仮に100%目標を達成できた場合、その目標は甘い設定をしていた可能性があるというようなとらえ方をされるでしょう。
このような目標設定値を、ストレッチゴールと言います。
どこが目標なのか、目標が達成できた場合はどのような状態になるのかなど、明確かつ理想的な表現にします。
現状維持のような高みを目指さない表現は採用しないようにしなければなりません。
目標は達成されたのか、またはどの程度達成されたのかを明確に判断できるような設定にします。
ストレッチゴールで解説したように、OKRは60%~70%の達成率が理想の目標設定なので、達成率をパーセンテージで測ることができる目標を設定します。
目標が多すぎると、リソースが分散してしまい非効率になってしまいます。
また、非効率であるにも関わらず、目標を目指す組織の負担も増えてしまい、生産性を低下させてしまう可能性があります。
過度な負担をなくし、集中して成果をあげるために、目標が多い場合は5個以内に絞るようにします。
目標を達成するためにどのような成果が必要かという視点で、その成果の指標を3個程度設定します。
設定した成果指標をすべて実現すれば、それがすなわち目標達成となるようなものです。
「指標」という名称になっている通り、成果の度合いを測ることができるものでなければなりません。
さらに、その指標は主観的なものではなく、信頼できるエビデンスのある客観的なものである必要があります。
行動自体を指標にするのではなく、その行動によって得られる成果を指標にします。
例えば営業職であれば、「商談アポイントの件数」ではなく、「成約件数」を成果指標として設定するなどが考えられます。
続いて、なぜこのような目標設定の手法を採用するのかという点について解説していきます。
ストレッチゴールという簡単には達成できない目標を設定し、それを目指して活動していくことで、現状を打破し予想外の成果を得られる可能性が高まります。
このように、現状と同じこと、もしくは現状の延長線上にあることをしていては達成できない成果を期待することができます。
OKRは、組織の目標と成果指標を設定し、それに対してさらに部署やチームの目標と成果指標、個人の目標と成果指標というように、組織から個人まで関連性を持たせながらそれぞれ設定をしていきます。
そうすることで、方向性を合わせられると同時に、個人やチームの成果が組織の成果に反映しやすくなります。
成果がでやすいという意味でも、個々のモチベーションという意味でも、大きな効果があります。
具体的な関連付けの方法は、OKRの導入方法として後ほど解説します。
組織から個人まで目標と成果指標を関連付けることに関わることですが、組織がどこを目指しているのかということを明確に共有することができます。
さらに、その目標に合わせたチームや個人の目標を設定することで、目標への理解とコミットを深めることができます。
OKRの効果を実現するために、どのように導入し、運用していくのかについて解説します。
まずは、組織として何を目指したいのか(Objectives)、その目標の達成度合いの計測方法をどのようにするか(Key Results)を定めていきます。
OKRの特徴と要素を網羅した形での設定をすることが重要です。
次に、OKRという目標設定や管理の手法を導入するという説明が必要です。
組織全体だけでなく、チームや個人でも設定して活用してもらいながら運用していく必要があるからです。
全体としてOKRを理解し、その効果に納得し取り組んでいくために重要なステップになります。
最終的に個人にまでOKRを落とし込んでいきますが、重要なのはどのようにチームを設定するかです。
階層をどのくらい細分化するか、職種ごとにするのか、チームを改めて設定するのかなど、どのくらいのレベルでOKRの設定が必要なのかを検討します。
そして、その切り分けからさらに個人へと関連付けたOKRを設定していきます。
それぞれのOKRを設定する際に、「どのように測るか」を明確に決めておくことが重要です。
例えば、「新規顧客を10件獲得する」であれば、5件なら50%の達成率というように、明確に測ることができます。
達成項目によって「単位」は変わってきてしまいますが、それぞれのOKRに合わせた尺度で構いません。
そのようにして、達成度合いを評価し、フィードバックしていきます。
目標設定の期間は一般的には4半期で設定され、少なくともそのタイミングで評価とフィードバックをおこないます。
最後に導入の際にポイントとなることを解説していきます。
OKRは60%~70%という達成率がベストの目標設定であると考えられていますが、一般的には目標=必達目標だという認識が根強いです。
ですので、ストレッチゴールであることや達成率の目安を理解できていなければ、高すぎる目標だという不満が出たり、達成度合いが低いという理由でモチベーションの低下にもつながりかねません。
この概念は確実に押さえておく必要があります。
OKRは、設定して達成度合いを評価しフィードバックするだけでは効果が得られません。
設定した目標を目指してチームや組織が連携することで効果を発揮するという、目標設定手法でありながら、コミュニケーションツールという役割も持っています。
だからこそ、目標と成果指標をオープンにし共有していく必要があります。
OKRは、目標を設定しその達成を目指すものではありますが、目標以外の成果を期待していたり、コミュニケーションツールという役割も持っているなど、目標達成そのものが目的とは限らない、幅のある目標設定手法です。
一般的な目標設定の概念とは異なる手法であるため、やはり組織全体での正確な理解が重要になってきますが、昨今のような変化の激しい社会においてはOKRのような幅のある目標設定のほうが合理的であるとも考えられます。
ぜひ、この記事を読んでOKRを実践していただきたいです。
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